
こんにちは。行政書士法人テンポートです。
日本で会社を設立し、飲食店、貿易業、建設業、サロン、不動産関連業、IT事業などを始めたい外国人の方から、創業融資・開業融資のご相談をいただくことがあります。
外国人の方でも、日本で融資を受けられる可能性はあります。
ただし、日本人の創業融資と比べて、確認されやすいポイントが少し増えます。
特に重要なのが、
- 在留資格に問題がないか
- 日本で事業を継続できる見込みがあるか
- 事業計画に具体性があるか
- 自己資金の出所を説明できるか
- 日本国内での信用情報や取引実績があるか
という点です。
外国人融資は、単に「お金を借りられるか」だけの話ではありません。
在留資格、事業実態、資金計画、許認可、税務、契約関係までつながるため、早めに全体を整理しておくことが大切です。
外国人でも日本で融資を受けられるのか
結論からいうと、外国人の方でも、日本で融資を受けられる可能性はあります。
ただし、融資審査では、国籍そのものよりも、
- 日本で適法に滞在しているか
- 今後も日本で事業を継続できるか
- 返済できるだけの事業計画があるか
- 資金の流れが明確か
- 経営者としての経験や準備があるか
が確認されます。
つまり、「外国人だから融資が無理」というわけではありません。
一方で、「日本に来たばかりで、事業計画も曖昧、資金の出所も説明できない」という状態では、審査はかなり厳しくなります。
融資審査は、ある意味で金融機関との“信頼づくり”です。
初対面でいきなり「お金を貸してください」と言うよりも、「私はこういう事業を、こういう根拠で、こう運営します」と説明できる方が当然強いです。
注意点1 在留資格と事業内容が合っているか
外国人の融資で特に重要なのが、在留資格です。
日本で事業を経営する場合、代表的な在留資格として「経営・管理」が関係します。
すでに日本にいる方でも、現在の在留資格で事業経営ができるのか、または在留資格変更が必要なのかを確認する必要があります。
たとえば、
- 留学の在留資格のまま、本格的に会社経営を始めようとしている
- 技術・人文知識・国際業務の在留資格で雇用されているが、自分の会社を経営したい
- 家族滞在の方が個人事業や会社経営を始めたい
- 経営・管理への変更を予定しているが、事務所や資本金、事業計画が整っていない
このような場合は、融資だけでなく入管手続きとの整合性も確認が必要です。
金融機関としても、「この方は日本で継続して事業を運営できるのか」という点を見ます。
そのため、在留期間が短い場合や、在留資格の変更予定がある場合は、事前に説明できるようにしておくことが大切です。
注意点2 事業実態を具体的に説明できるか
外国人経営者の融資では、事業実態がしっかりしているかも重要です。
特に創業時は、まだ売上実績が少ないため、事業計画書の内容が非常に大切になります。
確認されやすい内容としては、
- どのような商品・サービスを提供するのか
- 誰をターゲットにするのか
- なぜ日本でその事業を行うのか
- どの地域で営業するのか
- 競合との差別化は何か
- 仕入先や販売先の見込みはあるか
- 毎月どのくらいの売上を見込むのか
- 返済原資をどのように確保するのか
などがあります。
たとえば、飲食店であれば、客単価、席数、回転数、営業日数、メニュー構成、立地、競合店との差別化を説明する必要があります。
貿易業であれば、仕入先、販売先、輸送方法、在庫管理、為替リスク、取引契約の有無などがポイントになります。
「知り合いがたくさんいるので売れます」だけでは弱いです。
知り合いは心強いですが、融資審査では“友情”より“数字と根拠”が強い味方になります。
注意点3 自己資金の出所を説明できるか
外国人の融資では、自己資金の出所も重要です。
自己資金は、単に「口座にお金が入っているか」だけではなく、どのように準備したお金なのかを見られることがあります。
たとえば、
- 日本で働いて貯めたお金
- 海外から送金されたお金
- 親族からの支援金
- 役員や共同経営者からの出資金
- 事業準備のために移した資金
など、資金の流れを説明できるようにしておく必要があります。
特に海外送金がある場合は、
- 誰から送金されたのか
- 何の目的で送金されたのか
- 贈与なのか、借入なのか、出資なのか
- 返済義務があるのか
- 送金記録や契約書があるか
を整理しておくと安心です。
自己資金の説明が曖昧だと、金融機関に不安を与えてしまう可能性があります。
「なんとなく口座にあります」ではなく、「この資金はこのように準備しました」と説明できる状態にしておきましょう。
注意点4 日本での信用情報・取引実績が少ない場合がある
外国人の方が日本に来て間もない場合、日本国内での信用情報や取引実績が少ないことがあります。
たとえば、
- 日本での勤務実績が短い
- 日本国内の銀行取引が少ない
- クレジットカードやローンの履歴が少ない
- 税務申告の実績がまだない
- 事業用口座の入出金履歴が少ない
というケースです。
信用情報や取引実績が少ないこと自体が直ちに不利になるとは限りません。
ただし、その分、事業計画、自己資金、経験、契約書、見積書、許認可の準備などで補う必要があります。
金融機関は、「返済できるか」「事業が継続できるか」を見ています。
過去の実績が少ない場合は、将来の計画をより具体的に説明することが大切です。
注意点5 許認可が必要な業種か確認する
外国人が日本で事業を始める場合、業種によっては許認可が必要になります。
たとえば、
- 飲食店営業許可
- 古物商許可
- 建設業許可
- 宅地建物取引業免許
- 産業廃棄物収集運搬業許可
- 旅行業登録
- 酒類販売業免許
- 人材紹介・派遣関連の許可
などです。
許認可が必要な事業では、融資審査でも「開業に必要な許可を取得できる見込みがあるか」が確認されることがあります。
また、在留資格「経営・管理」と許認可の要件がぶつかることもあります。
たとえば、事務所要件、営業所要件、管理者要件、常勤性、資格者の配置などです。
そのため、外国人の開業では、
- 会社設立
- 在留資格
- 融資
- 許認可
- 物件契約
- 事業計画
をバラバラに考えるのではなく、全体の順番を整理することが重要です。
順番を間違えると、「物件を借りたのに許可が取れない」「会社を作ったのに在留資格が合わない」「融資申込時に説明が足りない」ということが起こり得ます。
開業準備はドミノ倒しに似ています。
きれいに並べれば進みますが、最初の一枚を間違えると、なかなか大変です。
注意点6 名義貸し・実態のない経営は絶対に避ける
外国人の会社設立や融資相談で注意すべきなのが、名義貸しや実態のない経営です。
たとえば、
- 実際に経営する人と代表者が違う
- 日本人や永住者の名義だけを借りている
- 代表者本人が事業内容を説明できない
- 会社の実態がない
- 事務所だけ形式的に用意している
- 資金の出所や使い道が不透明
このような状態は、融資審査だけでなく、在留資格や許認可の面でも大きな問題になります。
金融機関や入管は、書類だけでなく実態を確認します。
そのため、形式だけ整えても、実際の経営実態が伴っていなければ、審査で問題になる可能性があります。
外国人の融資では、「誰が」「どのような立場で」「どの資金を使って」「どの事業を行うのか」を明確にすることが非常に重要です。
外国人融資で準備しておきたい資料
外国人の方が創業融資・開業融資を検討する場合、次のような資料を準備しておくとスムーズです。
- 在留カード
- パスポート
- 住民票
- 会社の登記事項証明書
- 定款
- 事業計画書
- 創業計画書
- 資金計画書
- 通帳コピー
- 自己資金の出所が分かる資料
- 海外送金記録
- 親族支援の場合の説明資料
- 店舗や事務所の賃貸借契約書
- 内装工事や設備購入の見積書
- 仕入先・取引先との契約書や見積書
- 許認可に関する資料
- 経歴書
- 過去の職務経験が分かる資料
もちろん、必要書類は事業内容や申込先によって異なります。
ただ、最初から資料を整理しておくことで、融資相談や面談が進めやすくなります。
外国人経営者が融資を受けるためのポイント
外国人経営者が日本で融資を受けるためには、次のポイントを意識することが大切です。
1. 在留資格の見通しを確認する
現在の在留資格で事業経営ができるのか、在留資格変更が必要なのかを確認しましょう。
特に「経営・管理」を予定している場合は、会社設立、事務所、資本金、事業計画などを早めに整理する必要があります。
2. 事業計画を日本の金融機関向けに作成する
母国でのビジネス経験があっても、日本の金融機関に伝わる形で計画を作成することが重要です。
日本の商圏、価格設定、集客方法、競合、収支計画を具体的に説明しましょう。
3. 自己資金の流れを明確にする
自己資金は、金額だけでなく、出所と流れが重要です。
海外送金、親族支援、役員借入、出資金などがある場合は、説明資料を用意しておきましょう。
4. 面談で自分の言葉で説明できるようにする
融資面談では、事業計画書の内容について質問されます。
専門家が書類を作成した場合でも、経営者本人が内容を理解していなければ意味がありません。
「この事業でなぜ売上が立つのか」
「なぜこの場所で開業するのか」
「返済はどのように行うのか」
を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
行政書士法人テンポートのサポート
行政書士法人テンポートでは、外国人の方の創業融資・開業融資について、事業計画の作成から在留資格、許認可の確認まで総合的にサポートしています。
外国人経営者の融資では、金融機関向けの事業計画だけでなく、在留資格や事業実態との整合性が重要です。
当事務所では、
- 創業計画書の作成
- 事業計画書の作成
- 資金計画の整理
- 自己資金の説明資料の整理
- 日本政策金融公庫への申込準備
- 融資面談対策
- 在留資格「経営・管理」の確認
- 許認可が必要な業種の確認
などをサポートしています。
「日本で会社を作って事業を始めたい」
「外国人でも融資を受けられるか知りたい」
「経営・管理ビザと融資を一緒に相談したい」
「事業計画書をどう作ればよいかわからない」
このようなお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。