融資審査で見られるポイントをわかりやすく解説
銀行融資を受けたいと考えたとき、
「決算書のどこを見られているのかよくわからない」
「赤字ではないのに評価が伸びない」
「どこを改善すれば銀行の印象が良くなるのか知りたい」
と感じる経営者の方は少なくありません。
実際、銀行は決算書をただ眺めているわけではなく、
収益性・安全性・返済能力・資金繰りの安定性を読み取っています。
つまり、同じ売上規模の会社でも、決算書の中身によって銀行評価はかなり変わります。
この記事では、
決算書のどこを見直せば銀行評価が上がるのかを、実務目線でわかりやすく解説します。
結論
銀行評価を上げるために見直したい決算書のポイントは、主に次のとおりです。
- 利益がきちんと出ているか
- 借入を返済できるだけのキャッシュがあるか
- 自己資本が薄すぎないか
- 無理な役員報酬や私的経費が混ざっていないか
- 売上債権・在庫・借入のバランスが悪くないか
- 勘定科目の中身が不透明になっていないか
要するに銀行は、
「この会社は、ちゃんと利益を出し、資金繰りを回し、返済を続けられるか」
を見ています。
決算書は会社の通信簿と言われますが、銀行にとっては通信簿というより返済予報みたいなものです。
明日晴れるかより、毎月返せるかのほうが大事です。
1. 銀行が決算書で見ている基本
銀行が決算書を見る目的は、単純です。
貸したお金が返ってくるかを確認するためです。
そのため、注目されるのは次の4点です。
① 収益性
会社が利益を出せているか。
本業でしっかり稼げているか。
② 安全性
借入が多すぎないか。
自己資本が薄すぎないか。
③ 返済能力
利益やキャッシュフローで借入返済が可能か。
④ 資金繰り
売上はあるのに資金繰りが悪化していないか。
つまり、銀行は単に「黒字か赤字か」だけを見ているわけではありません。
利益の質、財務の厚み、資金の流れまで見ています。
2. まず見直したいのは「利益」
営業利益・経常利益は特に重要
銀行評価でまず大事なのが、利益が出ているかです。
特に見られやすいのは、
- 営業利益
- 経常利益
- 当期純利益
です。
この中でも、銀行が重視しやすいのは営業利益と経常利益です。
なぜなら、本業でどれだけ稼げているか、借入利息も含めて最終的に利益が残っているかが見えるからです。
見直しポイント
- 本業で赤字になっていないか
- 一時的な特別利益で黒字に見えていないか
- 利益が毎期安定しているか
- 売上だけ伸びて、利益が残っていない状態ではないか
たとえば、売上は増えているのに利益が薄い会社は、銀行から見ると
「忙しそうだけど、お金は残っているのかな?」
という見え方になります。
売上は派手でも、利益が残らないと、銀行評価は伸びにくいです。
3. 減価償却費を含めた「返済原資」を見る
銀行は会計上の利益だけでなく、実際に返済に回せるお金があるかも見ます。
ここで重要になるのが、減価償却費です。
なぜ減価償却費が大事か
減価償却費は、会計上は費用ですが、実際にその期に現金が出ていくとは限りません。
そのため、銀行は
当期利益 + 減価償却費
のような見方で、返済原資を確認することがあります。
見直しポイント
- 最終利益が薄くても、減価償却後の返済余力はあるか
- 返済額に対して利益+減価償却費が十分か
- 設備投資型の業種で、利益だけ見て不利に見えないか
ここは経営者が見落としやすいですが大事です。
「利益が少ないからダメ」ではなく、実際の返済余力で見れば評価できるケースもあります。
4. 自己資本比率は銀行の安心材料になる
自己資本が薄いと評価は厳しくなりやすい
銀行は、会社がどれだけ自前の体力を持っているかも見ます。
その代表的な指標が自己資本比率です。
自己資本比率が高いほど、一般には財務の安定性が高いと見られやすくなります。
見直しポイント
- 債務超過になっていないか
- 自己資本が毎年少しずつでも積み上がっているか
- 役員借入金に依存しすぎていないか
- 利益剰余金がしっかり残っているか
もちろん、業種や創業間もない会社では自己資本が薄いこともあります。
ただ、長期的には
利益をきちんと残し、純資産を厚くしていくことが銀行評価につながります。
自己資本は、会社の“筋肉”みたいなものです。
細マッチョのほうが、やはり銀行は安心します。
5. 役員報酬が高すぎないかも見られる
役員報酬は調整余地として見られることがある
中小企業では、役員報酬の設定が銀行評価に影響することがあります。
役員報酬が高すぎると、銀行からは
- 利益を圧迫していないか
- 会社にお金を残す意識が弱くないか
- 実態以上に会社負担が重くなっていないか
と見られることがあります。
見直しポイント
- 利益水準に対して役員報酬が高すぎないか
- 会社の資金繰りを圧迫していないか
- 同業他社と比べて極端ではないか
もちろん、役員報酬を下げればよいという単純な話ではありません。
ただ、融資を受けたいタイミングでは、
会社に利益と資金を残す設計が重要になることがあります。
6. 仮払金・貸付金・未収入金などの中身は要注意
銀行が嫌がりやすいのが、中身の見えにくい勘定科目です。
たとえば、
- 仮払金
- 立替金
- 貸付金
- 未収入金
- 雑勘定
- 長期間回収できていない売掛金
などが多いと、銀行は不安を持ちやすくなります。
なぜ問題なのか
こうした科目は、場合によっては
- 実態があいまい
- 回収可能性が低い
- 私的流用の疑いを持たれやすい
- 資産として本当に評価してよいのかわからない
と見られてしまうことがあります。
見直しポイント
- 仮払金や立替金を放置していないか
- 役員への貸付金が残っていないか
- 長期未回収の売掛金がないか
- 実態のない資産が計上されていないか
このあたりは、金額が大きいほど印象が悪くなりやすいです。
決算書の“部屋の隅に積まれた段ボール”みたいなもので、あるだけで気になります。
7. 売掛金と在庫が増えすぎていないか
売上が伸びても資金繰り悪化の原因になる
売掛金や在庫は、増えすぎると銀行から注意深く見られます。
なぜなら、
- 売掛金が増えすぎる
→ 回収が遅れている可能性 - 在庫が増えすぎる
→ 売れていない、資金が寝ている可能性
があるからです。
見直しポイント
- 売上増加に比べて売掛金が急増していないか
- 回収サイトが長すぎないか
- 在庫が適正在庫を超えていないか
- 不良在庫を抱えていないか
売上が増えても、売掛金と在庫ばかり増えると、お金が会社に残りません。
銀行はここをかなり見ています。
8. 短期借入と長期借入のバランスも重要
借入の内容も、銀行評価に直結します。
短期借入に頼りすぎると資金繰りが不安定に見える
本来長く使うべき資金を短期借入で回していると、銀行からは
「資金繰りが綱渡りではないか」
と見られやすくなります。
見直しポイント
- 運転資金と設備資金の借入期間が合っているか
- 短期借入の更新頼みになっていないか
- 月々の返済負担が重すぎないか
- 借入が増えた理由を説明できるか
借入そのものが悪いわけではありません。
大事なのは、借り方に無理がないことです。
9. 現預金残高はシンプルに強い
銀行が好むのは、やはり現預金がしっかりある会社です。
なぜ現預金が大事か
現預金は、そのまま資金繰り余力を示します。
利益が出ていても現金が少なければ、返済や支払いに不安が出ます。
見直しポイント
- 月商に対して現預金が少なすぎないか
- 納税後に資金が極端に減っていないか
- 借入返済後の手元資金が十分か
- 一時的に残高があるだけでなく、継続的に残せているか
銀行は、通帳や残高推移も見ながら、
この会社はちゃんとお金を残せる会社かを見ています。
10. 節税しすぎると銀行評価が弱くなることもある
これは実務上かなり大事です。
税務では利益を抑えることが有利な場面があります。
一方で、銀行融資では利益が少ないと返済能力が弱く見えます。
つまり、
- 税務上の最適化
- 融資上の最適化
は、必ずしも同じではありません。
見直しポイント
- 必要以上に利益を圧縮していないか
- 銀行融資を検討している時期に節税を優先しすぎていないか
- 一時的な経費計上で見た目の利益を落としすぎていないか
もちろん、節税が悪いわけではありません。
ただ、融資を見据えるなら、
どの程度利益を残すべきかを事前に考えることが大切です。
ここは、税理士と融資支援の視点をうまく両立させたいところです。
11. 見直すべきは「数字そのもの」だけではない
銀行評価を上げるためには、決算書の数字だけでなく、説明資料との整合性も大切です。
たとえば、
- なぜ売上が増減したのか
- なぜ利益率が下がったのか
- なぜ借入が増えたのか
- なぜ在庫が増えたのか
といった変化に対して、説明できることが重要です。
つまり、銀行評価は
決算書の見た目 + 数字の理由が説明できるか
で決まる部分があります。
12. 実務で特に見直したいポイントまとめ
銀行評価を上げたいなら、特に次の点を重点的に見直したいです。
損益計算書
- 営業利益
- 経常利益
- 利益率
- 役員報酬
- 一時的な費用の影響
貸借対照表
- 現預金残高
- 自己資本
- 借入金の内容
- 売掛金
- 在庫
- 仮払金、貸付金、未収入金などの不透明科目
あわせて確認したいこと
- 利益と返済額のバランス
- 節税と融資のバランス
- 数字の変化を説明できるか
- 来期以降に改善の見込みがあるか
13. 銀行評価を上げるには「決算前」からの準備が効く
本当に大事なのはここです。
銀行評価は、決算が終わってから急に作るものではありません。
- どこまで利益を残すか
- 役員報酬をどう設定するか
- 不要な仮払金を整理するか
- 在庫や売掛金をどう圧縮するか
- 借入構成をどう整えるか
こうしたことは、決算前から意識しておくほうが圧倒的に有利です。
決算書は通知表なので、提出前日に急に字をきれいにしても点数は変わりません。
でも、テスト前に勉強することはできます。そこです。
まとめ
決算書のどこを見直せば銀行評価が上がるのか。
答えは、単に売上を伸ばすことではなく、利益・自己資本・現預金・借入バランス・不透明科目の整理にあります。
特に見直したいのは、
- 本業で利益が出ているか
- 返済できるだけの余力があるか
- 自己資本が厚くなっているか
- 売掛金や在庫が増えすぎていないか
- 仮払金や貸付金などの中身が不透明でないか
- 節税しすぎて融資に不利になっていないか
という点です。
銀行は、決算書から会社の実力と将来の返済可能性を見ています。
だからこそ、融資を考えるなら、決算書を単なる税務書類としてではなく、
金融機関に見られる資料としても意識することが重要です。
当事務所では、融資申込に向けて、
決算書の見られ方の整理、銀行評価を意識した事業計画書の作成支援、資金使途や説明内容の整理などをサポートしています。
「うちの決算書でどこが弱く見えるのか知りたい」
「次の融資に向けて、どこを見直せばよいか整理したい」
という場合は、お気軽にご相談ください。
